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fltech - 富士通研究所の技術ブログ

富士通研究所の研究員がさまざまなテーマで語る技術ブログ

Scikit-learn Dev Sprint Japanを開催しました

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こんにちは、人工知能研究所 自律学習PJのプライニング ノルベルトです。

2021年5月26日~28日の3日間、Scikit-learnコンソーシアムと富士通の共催でScikit-learn DevSprint Japanを開催しましたので、レポートします。

今回は日本で初めての Scikit-learn DevSprintを開催しました。これまで富士通はパリで開催されたDevSprintsに継続的に参加してきましたが、日本にいる幅広い開発者や研究者がより簡単に参加できるようにし、日本のユーザーの意見を多くscikit-learnに反映させることを目指して、日本での開催を計画・提案しました。

そして2021年2月のDevSprint後、Scikit-learnコンソーシアムのコアメンバーと議論し、本Scikit-learn Dev Sprint Japanの開催が決定しました。

当初、10から15人の参加者を想定していましたが、さまざまなメディアを通じて参加を募ったところ、2週間ほどでDiscordサーバ制限である50人に達するほどの人気でした。(ただ、結果論でいうと、もっと受け入れても良かったと思います)

また、DevSptintはワークショップと開発スプリントの2部構成にしましたので、それぞれについて簡単に紹介します。

ワークショップ

初日は技術紹介を行うワークショップを開催しました。本家のDevSptintにはこのようなワークショップはあまり併設されませんが、参加者の理解レベルを事前に調査しなかった(本家に倣った)ため、1から説明するような機会を作りました。

午前は、トポロジカルデータ解析(TDA)の紹介とチュートリアルを行いました。TDAはとても強力なデータ解析ツールですが、機械学習にはまだそれほど浸透していません。そこでこのワークショップでは、TDAのイントロから富士通が開発した時系列データ向けのTDAについても紹介しました。

昼食後、scikit-learnを使った機械学習の概要を説明しました。こちらでは我々が日本語翻訳したscikit-learn の「Contribute」文書に基づいて、scikit-learnの開発環境設定に関するチュートリアルを行いました。

開発スプリント

2日目と3日目はscikit-learn開発スプリントに集中しました。

両日とも午前中は特に初心者向けにオープンソース開発の開始方法とscikit-learnプロジェクトへの貢献に関する詳細なチュートリアルを開催しました。一方、慣れている方はチュートリアルに参加せずそのまま開発、という方式にしました。

ただ、いきなり開発と言っても何をしていいのか迷う(経験のある方なら賛同いただけると思う)のですが、今回は事前にScikit-learnコンソーシアムメンバと会話して、DevSprint用ボードを準備し、特にScikit-learnとして解決して欲しいIssueや易しめのIssueを列挙したものを用意し、そのような手間をできるだけ軽減したつもりです。

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今回のスプリントのIssueボード

また午後には、コア開発チームのメンバーがDiscordチャンネルに参加し、問題への取り組みとプルリクエストの準備を手伝いました。コアデベロッパと直接話す機会は、参加された方々にとっても貴重な経験だったのではないかと思います。

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コア開発者とのコミュニケーション

3日目は、午後5時のクロージング メッセージまで同じように続きました。開発スプリント中に13人が開発作業に参加し、これまでに15件のプル リクエストが提出され、そのうち9件がすでに承認されています。

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クロージング メッセージでの参加者

今後について

今回は初めての日本開催で、Scikit-learnコンソーシアムにも富士通にも、色々手探り感がありました。はじめにも書きましたが、ちょっとビビって申し込みが50人に達した時点でクローズしてしまいましたが、最終的な参加者はチュートリアルが申し込みの半分程度,開発スプリントは3分の1程度だったため,もうちょっと待っても良かったと思います。また実際に参加された方々にはご不便をかけたこともあったかと思いますが、この経験を今後に活かして改善していきたいと思います。なお、次回は秋に開催を予定していますので、楽しみにしていただければと思います。 もし、こんな富士通研究所に興味を持たれた方がいらっしゃいましたら、自律学習PJの小橋がカジュアル面談を随時募集していますので是非コンタクトしてください!