こんにちは。データ&セキュリティ研究所の矢崎です。 Fujitsu Research Portalで公開しているTrustable Internetを用いた偽情報対策技術を体験いただけるデモについて紹介します。 Fujitsu Research Portalでは富士通の先進技術を様々な用途で、いち早くお試しいただく環境として無償で提供しており、12月からTrustable Internetを用いた偽情報対策技術を体験いただけるようにしました。
https://portal.research.global.fujitsu.com/
Trustable Internetは昨年10月に慶應義塾大学SFC研究所と富士通とでコンセプトを立ち上げ、今年3月にはUpdates from FUJITSUにてそれを実現するための主要機能[エンドースメントグラフ]を発表し、IETFにてデモ展示をしました。
https://pr.fujitsu.com/jp/news/2022/10/13.html https://pr.fujitsu.com/jp/news/updatesfj/2023/03/20.html
今回は、その主要機能をより手軽に試して頂くために、お手持ちのブラウザにインストールするだけで体験できるChrome拡張機能を公開しています。この記事では、インストールしたChrome拡張機能で体験できることを説明します。
Chrome拡張機能で出来る体験
① 記事に紐づく根拠情報の見える化
このChrome拡張機能では、記事のURLをもとに記事に紐づいたTrustable Internetで管理される様々な根拠情報を取得します(※1)。そして、取得した情報をつながりを考慮して構造化することでグラフ化します。下記がそのグラフで、エンドースメントグラフと呼んでいるものです。投稿記事に対して、その記事に含まれる画像への根拠情報が追記されたり、自治体からの公式発表が追記されたりと、第三者が追記するたびに成長し、グラフの取得日時によってその内容が様変わりしていきます。 (※1) 今回のデモでは、根拠情報はChrome拡張機能にキャッシュ済です。
② エンドースメントグラフを分析し、情報の真偽判定
グラフは成長するにつれ複雑性が増し、人間が読み解くことが困難になっていきます。その複雑になったグラフをChrome拡張機能は人間に代わって読み解き、わかりやすい自然言語で説明します。具体的には、Chrome拡張機能はグラフとして接続された根拠情報を読み出し、その根拠情報どうしに矛盾がないかを大規模言語モデル(LLM:Large language Models)を用いて計算します(※2)。そして、いくつかの矛盾がない根拠情報を見つけ出し、その根拠情報から説明文を生成することで、わかりやすさを実現しています。 (※2) 今回のデモでは、LLMを用いた処理に時間がかかるため、あらかじめ計算させた結果を用いています。
体験のしかた
1. Fujitsu Research Portal(FRP)にアカウントを作成
詳しい作成方法は、こちらを見てください
https://blog.fltech.dev/entry/2023/09/29/annoucing-fujitsu-research-portal-ja
2. Chrome拡張機能をインストール
FRP内の偽情報対策ページにアクセスし、インストール手順に従ってお手元のChromeブラウザにChrome拡張機能を導入してください。
3. TIボタンを押して体験
このページを表示した状態でツールバー上に表示されたTIボタンを押します。するとTIボタンに関連付いたChrome拡張機能がこのページ内のサンプル記事を見つけ、記事に紐づいている根拠情報を取得し、根拠情報に基づいた記事の分析結果を表示します。分析結果の詳細は、さらにクリックすることで見ることができます。
サンプル記事
以下の記事は、体験デモ用に架空のSNSに投稿された記事です。
今後
お客様とのコラボレーションを通じて、偽情報対策技術の精度、処理時間の向上を進め、様々な分野に役立てていただくことを目指します。順次、記事の証拠情報をリアルタイムに取得・分析するデモや、Trustable Internetを支えるAPI群を公開していくのでご期待ください。