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fltech - 富士通研究所の技術ブログ

富士通研究所の研究員がさまざまなテーマで語る技術ブログ

ソーシャルデジタルツイン™をFujitsu Research Portalで公開開始しました!

コンバージングテクノロジー研究所の大野&杉本です。こんにちは。
私たちが開発しているソーシャルデジタルツインをFujitsu Research Portalで公開したので紹介します。

ソーシャルデジタルツイン™とは

近年、現実世界と対になるふたご(ツイン)をデジタル空間上に構築し、モニタリングやシミュレーションを可能にするデジタルツイン技術が注目を浴びています。 この技術は製造分野で使われており、例えば航空機エンジンをデジタルツイン化して不具合の事前防止や保守点検コストの大幅削減に寄与し、また工場全体をデジタルツイン化して重大インシデントの事前防止にも寄与してきました。
そのデジタルツインの考えを発展させたのが、富士通オリジナルの技術群「ソーシャルデジタルツイン」です。
ソーシャルデジタルツインは、実世界のデータをもとに、人や物の状態だけでなく、経済・社会の活動をまるごとデジタルに再現することで、社会の実態や問題発生のメカニズムを把握すると共に、多様で複雑化する課題の解決に向けた施策立案などを支援する技術群です。課題解決が期待される6領域(ウェルネス、水・食料、エネルギー・環境、モビリティ、防災・インフラ、教育・人材育成)を主軸に技術の適用を進めています。

今般、ソーシャルデジタルツインを体験いただくための第一弾として、まずはモビリティユースケースの技術を、 Fujitsu Research Portal(※1) で公開しました。

(※1) Fujitsu Research Portal : https://portal.research.global.fujitsu.com/
Fujitsu Research PortalについてのTech Blogも是非ご覧ください : https://blog.fltech.dev/entry/2023/09/29/annoucing-fujitsu-research-portal-ja

ソーシャルデジタルツイン™でできる体験と支える技術

私たちが研究開発を進めているソーシャルデジタルツインは、様々な使い方で社会をより良くすることができる可能性があると考えています。その使い方を私たちだけで考えるのではなく、皆様と一緒に発見し、社会への実装を進めていきたい、そんな思いからどなたでも簡単に技術を体験いただけるようにしています。

①シェアドeスクーター(シェアドモビリティ)の最適配置アプリでの体験
具体的には、第一弾として公開したアプリを用いることで以下の事ができるようになります。
CO2を排出しない環境にやさしいシェアドeスクーターを地域に導入した場合に

  • 「移動する人たちはシェアドeスクーターを使うのか?」
  • 「移動時間はどのくらいになるのか?」
  • 「車を使わないことによってそのエリアで CO2 排出がどのくらい減るのか?」
  • 「シェアドeスクーターをどこに何台置くと効果的に使われるのか?」

など、これまで見積もるのが難しく検証にも時間がかかっていた、 新しいシェアドeスクーターの導入効果の見積もりや、より効果を高める配置プランの立案を、デジタルリハーサルで検証しながら進めていくことができます。

②好きなデータに入れ替えて体験
アプリでは、簡単に体験いただけるようにサンプルデータも準備していますが、サンプルデータを使わず独自のデータに入れ替えることもできるようにしています。地図データを入れ替えて好きなエリアで検証できるだけでなく、シェアドeスクーターのベイ(シェアドeスクーターの設置場所)の位置データを入れ替えて利用状況を検証したり、人の移動データ(どこからどこまでいつ人が移動するか定義したデータ) を入れ替えて結果を検証する事も可能です。

これらの体験はFujitsu Research Portalのアカウントを登録いただくだけで簡単に利用できます。また、APIも公開しているので好きなUIやアプリとして開発することもできます。このアプリやAPIは、クラウド費用をおさえつつマルチユーザで使えるように設計を工夫しています。

このような体験を支えているのが、富士通が開発した「行動選択モデル」技術です。
この技術は、人々が移動するときに「シェアドeスクーターを使うか、徒歩にするのか」といった人の動きを再現します。
AIによるビッグデータ分析と行動経済学の知見を融合し、状況に応じて変化する人々の行動を高精度に再現することで、施策による人々の行動の変化を予測し、施策の効果や影響を事前に検証可能です。
行動経済学によると、人は事象が発生する確率に対し、高い確率はより低く過小評価し、低い確率はより高く過大評価しがちである一方、損失を過大評価し回避する傾向があります(プロスペクト理論)。こうした非合理的な行動特性に加え、天候などの間接的な要因が個人の選択に及ぼす影響の特徴を様々な属性データや天候データを用いてAIに学習させモデル化することで、より人の行動に近い再現を可能にしました。

デジタルリハーサル™を体験!

Fujitsu Research Portalのアカウントを作成してログインし、技術一覧から「Social Digital Twin Mobility」のお試しを選択してください。アプリは説明ページの最下部の「デモアプリを試す」から利用することができます。

アプリのトップページからプリセットのデータを選択すると、すぐに結果を表示することができます。 自分でデジタルリハーサルをしてみたい場合は赤いボタンを選択してください。

ここからシェアドeスクーターの台数を変更したり、施策のパラメータを変更したりして、人々の行動選択の違いや、それに伴う施策の評価を体験することができます。

結果の見方

デジタルリハーサル結果の画面では、地図の下方にあるスライドバーを移動させると、時間経過とともに、どの交通手段で人が移動するか、確認することができます。そして、グラフ上ではCO2の排出量や収入の予測結果などを確認することができるので、例えばCO2排出を抑えながら収入を最大化するための最適な配置プランを探索していくことができます。具体的には、都市の中にシェアドeスクーターのベイをどのくらい配備すれば利用率が上がるのか、3か所くらいでも効果があるのか、どの場所のシェアドeスクーターの台数が不足しやすそうか、といったことがわかります。詳細な操作方法やAPIの使い方については、マニュアルも公開していますのでぜひ参考にしてみてください。

今後

カスタマイズするための地図データや人の移動データの作成方法は、マニュアルで説明していますが、今後はマニュアルがなくても簡単にデータを準備できるツールも公開していく予定です。そして、今回は特定のユースケースの形で公開していますが、今後モビリティ以外の領域や他用途に使えるアプリも公開していく予定です。
今後もよりよい内容に変更していきたいと考えていますので、ぜひ体験いただいて積極的なフィードバックをいただけるとありがたいです! Fujitsu Research Portalにログインすると問合せメニューがありますので、そこからフィードバックをお願いします。
今後もこのTech Blogで最新状況を発信していきますので、お楽しみに!!