fltech - 富士通研究所の技術ブログ

富士通研究所の研究員がさまざまなテーマで語る技術ブログ

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量子コンピュータを活用した材料物性シミュレーション技術の開発#1:量子コンパイル技術

こんにちは、量子研究所で量子アルゴリズムの研究をしております松本徳文です。先日2025年3月28日にUvance Kawasaki Towerにて富士通主催のグローバル量子コンピューティングイベント 「Fujitsu Quantum Day」が開催されました。その中で私たちの研究チームの最近の成果をポスター発表しましたので、その内容をご紹介したいと思います。 ポスター発表内容の概要 私たちの研究チームでは、2022年度より量子コンピュータ向けソフトウェア開発に強みを持つスター…

理論上最高効率の量子ニューラルネットワークを発明!~複雑性の中に潜む美しさ~

こんにちは、量子研究所の鎮西です! 私は2025年3月28日に開催されたFujitsu Quantum Day 2025 Japanにおいて、量子ニューラルネットワークの学習効率に関する最新の研究成果について発表を行いました。 今回はその内容について解説します。 世界最先端の研究動向だけでなく、量子ニューラルネットワークの中に潜む「美しさ」もお伝えできればと思います。 この成果は、量子機械学習分野における世界最大の国際会議Quantum Techniques in Machi…

スパコン環境での決定グラフ型量子回路シミュレータの高速化

…じめに こんにちは、量子研究所の量子アプリCPJの猪谷です。2025年3月28日にFujitsu Uvance Kawasaki Towerで開催されたFujitsu Quantum Day (FQD) 2025 Japanでポスター発表を行いました。今回は、この発表内容をFujitsu Tech Blogの方でも紹介させていただきます。なお、発表した技術自体は、2024年11月17日-22日に米国アトランタで開催されたSC24で発表されたものです [1]。技術の詳細はIEE…

Materials Informatics特集 #1:APS2025で機械学習ポテンシャルの生成技術を発表しました

…を予測するためには、量子力学に基づく複雑な数式を使った計算を行っていました。この方法は第一原理計算と呼ばれ、非常に正確な結果を得ることができます。しかし、計算に必要な時間とリソースが膨大であるため、本来解析したい大規模なシステムのシミュレーションに適用することは困難です。その一方で、実験データや既存の知識に基づいて、原子間の相互作用をモデル化する経験的ポテンシャルがよく用いられています。経験的ポテンシャルは計算速度が比較的速く、大規模なシステムのシミュレーションに適しています…

Arm CPUを利用してオンプレミス x 生成AIを低コストで実現! ~プライベートな環境で社外秘情報も活用可能!~

…PUの詳細 モデルの量子化 技術の要約 技術の詳細 1. 量子化とは 2. 量子化のためのソフトウェア紹介 3. 量子化の効果とトレードオフ Arm CPU向け最適化 技術の要約 技術の詳細 1. スレッド制御の実装を改善 2. Arm専用の組み込み命令による最適化 バッチ処理対応 技術の要約 技術の詳細 コストパフォーマンス・競合他社との比較 FUJITSU-MONAKAとの連携 今後の展望 お問い合わせ先 謝辞 生成AIの発展と課題 近年、生成AIは目覚ましい発展を遂げ、…

広島大学との共同研究で開発した量子化学計算ソフトウェア「GANSU」をOSS公開しました

…広島大学SRLでは、量子化学計算の高速化について研究しています。量子化学は、電子状態を考慮することで分子構造の最適化や物性予測の精度を大幅に向上させられますが、計算量が極めて大きいという課題があります。情報科学と化学という異なる専門分野にまたがるハードなテーマですが、組織的な連携を強化した富士通SRLの仕組みを活かして、理論的な枠組みの理解から並列アルゴリズムの考案・効率的な計算の実装まで一気通貫で取り組んでいます。今回は、開設から3年目となる広島大学SRLがGPUを用いてフ…

量子ゲート操作の精度を極限へ!富士通のダイヤモンド量子ビット技術の深層に迫る

…ちは、富士通研究所 量子研究所の松村と申します。量子研究所では、従来コンピュータとは違う原理による圧倒的な計算能力で、様々な社会分野において革命をもたらすとされる量子コンピュータの研究を行っています。 この記事では、2025年3月24日のプレスリリース「ダイヤモンドスピン量子ビットの高精度量子ゲート操作技術を開発」[1]を、技術的に深掘りして、今回発表した技術の価値・意義を解っていただくことを目的として書きました。最近量子コンピュータの世界で発表されている様々な素晴らしい成果…

OSS量子クラウドプラットフォーム「Open Quantum Toolchain for Operators &Users」のご紹介

こんにちは、量子研究所で量子クラウドプラットフォームの研究開発を担当している五木田です。 今回、富士通は大阪大学*1、株式会社セック*2、TIS株式会社*3らのチームと共同で開発を進めている量子クラウドプラットフォーム「Open Quantum Toolchain for Operators &Users」を拡張し、各種の量子ソフトウェアを含めOSS(Open Source Software)として公開しましたので、その概要について紹介させて頂きます。 github.com …

SCIS2025参加報告~AIのリスク分析に関する発表と実行委員会活動報告~

…するものまであり、耐量子計算機暗号とAIセキュリティが7セッションで最多のセッション数となっていました。耐量子計算機暗号は、量子計算機時代の暗号に関する研究です。実用的な量子計算機が普及すると現在の一部の暗号の安全性が低下する可能性があることが指摘されており、量子計算機が普及したとしても安全であるような暗号についての研究が行われています。AIセキュリティは人工知能(AI: Artificial Intelligence)に関するセキュリティを行うテーマであり、AIを使ってサイ…

NeurIPS2024に参加・発表しました #1 ~GPUを用いた次世代組み合わせ最適化ソルバー~

…、大規模生成モデルの量子化や離散機械学習モデルの学習といった応用展開も期待されます。 また、この論文のほかにも本研究を基盤として多様な解を探索する方法に関する論文(Continuous Tensor Relaxation for Finding Diverse Solutions in Combinatorial Optimization Problems)やさらに一つの組み合わせ最適化問題を解くことに特化し、さらに探索性能を高めた方法に関する論文(Optimization …

SC24に参加・発表しました#3 ~FUJITSU-MONAKAプロセッサとArmエコシステムへの貢献~

…LMに適用する新たな量子化手法に関する論文発表セッションに参加しました。近年注目を集めている大規模言語モデル(LLM)は膨大なパラメータを持つため、推論や学習に多くの計算資源を要します。量子化はモデルのパラメータを少ないビット数で表現することにより、メモリ消費量や計算量を削減する最適化技術で、LLMの普及と実用化を加速させる技術として注目を集めています。量子化手法の1つとして、重みのみを量子化するWeight-only Quantizationがありますが、量子化範囲内に外れ…

SC24に参加しました!#2 ~超伝導量子コンピュータの展示

初めまして、量子研究所の中田です。私は今年の春まで大学に勤めていましたが、2024年3月から富士通の量子研究所でお世話になっています。前職では物性物理学を専門にしており、レーザーや放射光などさまざまな波長の光を用いて高温超伝導体などの量子物質を研究していました。物性物理で扱うような相互作用する量子多体系は古くから知られる物理学の難問のひとつですが、そのような問題に対して量子計算の有用性が議論されていることから量子コンピュータに興味を持ちました。私は実験装置を扱いながら研究を進…

SC24に展示・発表しました #1 ~スパコンをより便利かつ効率的に使うための技術を展示

…セッサMONAKA、量子コンピュータの展示を行いました。量子コンピュータについては1/2サイズのモックアップを展示し、多数の来場者が写真を撮影するなど人目を引いていました。 コンピューティング基盤技術の紹介 展示のうち、私が展示説明を行ったコンピューティング基盤技術の内容をご紹介します。 インタラクティブHPCとACBの展示風景 インタラクティブHPC LLMをはじめとする生成AIは、その性能を高めるために急速に大規模化が進んでいます。この結果、これまで大規模な計算環境に馴染…

富士通の最先端技術を一挙に公開!富士通テクノロジー戦略説明会

…基づく独自技術で実用量子計算の到来を早めるSTARアーキテクチャ 誤り耐性量子計算には膨大な数の量子ビットが必要とされています。富士通では実用計算に必要な量子ビット数の削減を目指し、独自の量子計算アーキテクチャ「STARアーキテクチャ」を提案。Tゲートを位相回転ゲートに置き換え、必要な量子ビット数を削減しつつ、独自のエラー検知方法で精度維持に成功しました。材料物性シミュレーション分野において、6万量子ビット規模で古典コンピュータより1000倍高速な実用計算が可能であることを理…

IEEE QCE24にて発表・展示を行いました!

こんにちは。量子研究所の赤星です。 今回は、2024年9月15日から20日にかけてカナダのモントリオールで開催された国際会議IEEE QCE24(https://qce.quantum.ieee.org/2024/)の参加報告と、 そこで発表した内容を含めた最近の研究成果についてご紹介します。 IEEE QCE24 参加報告 概要 IEEE QCE24 (IEEE International Conference on Quantum Computing and Engine…

Q2B24 Tokyo にて講演・展示を行いました!

初めまして。量子研究所の新人の北川です。この3月に博士課程を修了し、4月から富士通の量子研究所にお世話になっております。大学ではダイヤモンド量子を用いた高感度磁場センシングの研究をしておりました。博士課程で培ったダイヤモンド量子の技術を活かし、産業に貢献したいという気持ちから、富士通の取り組みに興味を持ち、入社させて頂きました。 さて、私たちの研究チームと佐藤所長は2024年7月24、25日にグランドハイアット東京で開催されたQ2B24 Tokyoにて講演・展示を行いましたの…

Q-Expoに参加しました#2

量子研究所からオランダのデルフト工科大学に赴任し、ダイヤモンドスピン量子コンピュータのハードウェア技術の研究をしている石黒です。今回、オランダの量子週間(Quantum Meets '24)のメインイベントであるQ-Expoにて展示を行いました。富士通とTU Delft/Qutechは、ダイヤモンドスピン方式の量子コンピュータの研究開発として、ダイヤモンドスピン方式の量子ビットチップ、極低温CMOS・マイクロアーキテクチャ、極低温集積実装、量子アルゴリズムと量子エラー訂正など…

Q-Expoに参加しました#1

量子研究所からオランダのデルフト工科大学に赴任し、ダイヤモンドスピン量子コンピュータのハードウェア技術の研究をしている岩井です。今回、オランダの量子週間(Quantum Meets '24)のメインイベントであるQ-Expoにて展示を行いましたので、参加報告します。 Q-Expo概要と富士通ブース European Quantum Industry Consortium(ヨーロッパ量子産業コンソーシアム)とQuantum Delta NL(デルフト工科大学を含む5つのオランダ…

量子計算機を使った新しい素因数分解法の提案論文を読んでみた

…に中国の研究者たちが量子アニーリング計算を使った新しい素因数分解法を提案しました。 日本でも Gigazine が紹介するなど 注目になっていますが、 内容が高度に専門的であること、また論文が中国語で書かれていることから詳細が知られていません。 本記事ではこの提案論文を調査し、量子アニーリング計算を使った新しい素因数分解法の概要を紹介します。 なお提案論文の本文は中国語で記述されているため、調査には Google 翻訳を利用しました。 翻訳結果を鵜呑みにせず可能な限り補正を試…

ISC 2024に参加・発表しました #3 ~ここまで来た! 量子技術最前線~

こんにちは、量子研究所で量子プラットフォームの研究開発を担当している中尾です。私が所属する量子研究所は、2024年5月12日から16日にドイツのハンブルグで開催されましたスーパーコンピュータ関連技術の国際学会展示会ISC High Performance 2024(https://www.isc-hpc.com/)に現地参加しました。この国際会議には富士通から複数のメンバーが現地参加したため、三回に分けて報告します 。今回が最後の三回目で量子コンピューティング技術の最新の成果…

ISC 2024に参加・発表しました #2 ~FUJITSU-MONAKAプロセッサとは?~

…たなアクセラレータや量子コンピュータなど、HPCシステムの構成要素がどんどん増えてきている一方で、これらの複雑なアーキテクチャを適切なワークロードで効率的に利用することが大きな課題となっています。 いくつかのトピックや議論がありましたが、その中で私が考えていた分散異種アーキテクチャの方向性と近いものとして、CPUノードやGPUノード、ストレージノードなどの塊を1つのモジュールとして用意し、それらのモジュール間をインターコネクトで接続して分散異種アーキテクチャを実現するというも…

ISC2024に参加・発表しました #1 ~HPCシステムの最新動向を知る!~

…ョン・アルゴリズム、量子コンピューティング、コンピュータアーキテクチャ、ネットワークと幅広い分野を対象としています。中でも今回は、量子コンピューティングに関係する論文発表や企業展示が多かったように感じました。その他にも、ポスター展示・発表、関連するBoFやフォーカスセッションを含め、多数のセッションがあります。2024年の総参加者は3,409名で、去年より1割以上増加しました。去年と同じ会場であったため、確かに人の多さを実感しました。 ISC会場 (©ISC High Per…

決定グラフ型量子シミュレータのご紹介

こんにちは、量子研究所の木村悠介です。富士通では量子コンピュータ実機のほかに、量子シミュレータも開発しています。 このページでは、グラフ構造を用いて効率性を高めた、独自開発の決定グラフ型量子シミュレータを紹介します。 量子シミュレータとは? 量子コンピュータは量子力学の原理に基づいて動作する新しいタイプのコンピュータで、普通のコンピュータでは出来ないことができるようになると期待されています。 しかし、量子コンピュータの実機の研究開発はまだ初期段階です。多くの人にとっては手の届…

ガウス過程を用いたVQEのためのノイズ軽減手法

AI

…研究所の竹森です。 量子コンピュータを用いることにより、様々な問題を高速に解けることが知られていますが、 現時点で実現されている量子コンピュータには誤り訂正がなく、十分な精度が得られないという課題があります。 この技術ブログでは、VQE (Variational Quantum Eigensolver)と呼ばれる量子化学計算のためのアルゴリズムを誤り訂正のない量子コンピュータ上で実行する際の、ノイズ軽減手法について紹介します。 以下で紹介する技術は、以下の私たちの論文(コンピ…

Fujitsu Quantum Day に現地参加しました!

こんにちは、量子研究所で量子アルゴリズムの研究をしております金杉翔太です。今回は2024年1月25日にオランダのデルフトで開催された富士通初のグローバル量子コンピューティングイベント 「Fujitsu Quantum Day」についてご紹介します。 Fujitsu Quantum Dayの概要 Fujitsu Quantum Dayは今年度初めて開催された、富士通主催の量子コンピュータに関するグローバルイベントです。富士通は2023年10月には日本企業初となる超伝導量子コンピ…

Q2B23 Tokyo にて講演・展示を行いました!

量子研究所でリサーチディレクターをやっております河口です。私たちの研究チームと佐藤所長は2023年7月19、20日にグランドハイアット東京で開催されたQ2B23 Tokyoにて展示・講演を行いましたので報告します。 Q2Bは、2017年より開始された量子コンピュータのビジネス応用に関する国際会議と展示会で、毎年12月に米国のSilicon Valley(SV)で開催されています。昨年より米国外で初めて東京でもQ2B Tokyo として7月に開催されることになり、今年で2回目に…

離散対数問題に対するShorアルゴリズムの実装と量子計算機シミュレータを用いた実験

こんにちは、量子研究所の岸です。富士通研究所ではセキュリティが量子コンピュータにより受ける影響を分析しています。今回は、公開鍵暗号などで使われている離散対数問題に着目して研究成果が得られましたので、その内容を紹介します。この結果は今月の情報セキュリティ研究会でも発表予定です。 論文情報 研究会名:電子情報通信学会 情報セキュリティ研究会 (ISEC) 開催日:2023年7月24日(月)~25日(火) 開催場所:札幌市 論文タイトル:離散対数問題に対するShorアルゴリズムの実…

ISC High Performance 2023に現地参加しました

…ョン・アルゴリズム、量子コンピューティングやコンピュータアーキテクチャと、分野が幅広いです。その他にも、関連するBoFやフォーカスセッションを含め多数のセッションがありました。今回はCOVID-19の影響が大幅に緩和されたため、現地参加者は3000人以上と以前の規模に戻ってきたと感じました。これまで、国際学会への参加を避けていた人も徐々に戻ってきており、久しぶりに会った大学・企業の先生方とも直接議論することができ、非常に有意義な会議でした。 オープニングセッション(©︎ISC…

最適化手法を利用した素因数分解法の数値実験

…ュリティ研究所では、量子計算機がセキュリティに与える影響を分析しています。 2022 年に量子計算による最適化手法を用いた新しい素因数分解法が発表され、注目を集めています。 われわれはこの手法の効果を調査するためにさまざまな実験を行ったので、その結果を紹介します。 この結果は情報処理学会のコンピュータセキュリティ研究会でも発表予定です。 論文情報 研究会名:情報処理学会 コンピュータセキュリティ(CSEC)研究会 開催日:2023年5月11日(木)~12日(金) 開催場所:高…